近江の小さな米農家
百匠屋は滋賀県の湖北地域にある米どころで、家族で農業をしています。
小さい農家ですが、規模が小さいからこそ田んぼに目を行き届かせ、化学肥料や農薬をできるだけ使わずに美味しいお米が作れるように頑張っています。
おいしさを追求し、農薬・化学肥料は最低限。
百匠屋は滋賀県が主導する「環境こだわり農業」に取り組んでいます。
使用する化成肥料・農薬は慣行栽培の半分以下です。
以前、無農薬無化学肥料でお米を作ったことがありましたが、さほど美味しくない結果となり、おいしいお米、甘いお米を食べていただくことを第一に考える百匠屋では、必要最低限のみ使用することにしています。
使用している農薬は、箱施用剤といわれる苗箱に使う殺虫殺菌剤と田植え直後の除草剤です。箱施用剤は、生育初期の苗をばい菌や害虫から苗を守るための用剤です。これを用いることで、苗からもう稲だなと思われる頃には稲自身の生命力で健康体になり、茎も固くなり、害虫や病気に強いものに成長します。
除草剤は、移植後の苗が活着(※)し、葉が繁茂し太陽光が地面に届きにくくなるまで、草が生えにくくする薬です。
移植直後の苗は、根を切られ赤ちゃんのような、か弱い存在です。草が勝つか苗が勝つかの勝負になります。ほんの少し薬にその手助けをしてもらいます。
※活着=根を張り自分で大きくなる力を出し始めること。
自分がやったことは自分に返ってくる。いいことも悪いことも。
私も次男で父も次男。おじいちゃんは田んぼ作りをしていたのですが、その後別の人に耕作をお願いしていた時期がありました。月日が流れ、父は自営業で不動産業を営んでいましたが、40代半ばに何を思ったか突然田んぼを始めました。どうやら農業機械に乗りたかったようです。
それから数年後、食品会社で営業をしていた私も農薬の問題などに直面することもあり、子どもたちに安全な食べ物を食べさせたいという思いから農業に関心を持ち、二人目の子どもができたことを機に平成15年に脱サラして専業農家となりました。最初は食べていくために一生懸命でしたが、大自然と触れ合っている中で、田んぼの中の虫たちの生きる力、自然の中の稲たちの生きる力、農業を通して「生きる力」をもらっていることに気がつきました。
経営のこと、生きるための主食であるお米を作る楽しさ、おいしさの追求、konefaサムライプロジェクトの活動を通じての異業種との交流など農業の可能性、魅力。
農業を次世代につなげるため、子どもたちに職業としての農業を魅力あるものにすること。考えることはたくさんあります。いまは家族も6人に増え、ますますやりがいを感じています。
とんかく今は仕事が楽しい、農業がアツイ。自然相手だから文句も言われない。
ただ自分がやったことは自分に返ってくる。いいことも悪いことも。
それが楽しさ。やりがいです。
konefa サムライプロジェクトとしての取り組み
konefaサムライプロジェクトとは、konefa(湖北ニューファーマーズ)の有志、七人からなるプロジェクトです。『農と人をつなぐ。』をコンセプトに、様々な取り組みをしてまいりました。プロジェクトは卒業しましたが、とても多くの方に支えていただきました。詳しくはブログをご覧ください。
酒米づくり
農家の友達を通じて知り合った冨田酒造の冨田さんに酒米作りを依頼され、2011年から酒米「玉栄」にチャレンジしています。2014年からは「吟吹雪」の栽培も始めました。どちらも滋賀県ならではの酒米です。
私はお米つくりのプロです。求めるのはおいしさですが、酒米となると更なる品質・量を追求します。いい酒米を作って納めれば、そこからは冨田さんが思いを持っていいお酒にしてくれる安心感があるから。
そして何より、自分で作ったお米が形を変えて、お酒になるってこんなに素晴らしいことってありますか?!今後も高品質、豊作をめざし作り続けます。自分の米でできたお酒を楽しむために。