百匠屋のお米ができるまで
3月〜5月 苗づくり
「苗半作」という言葉があります。苗でお米の質がほぼ決まってしまうということです。健康で丈夫な苗を作ることが病気にも強くいいお米になる条件です。
ハウスの準備
風のないときをねらって最低3人がかりでする大変な作業です。早朝から一日がかりです。
温湯消毒
60℃のお湯に10分間籾を浸すことにより農薬を使わず消毒します。
約1週間水に浸して休眠している種を起こし、苗箱に種をまきます。発 芽
32℃に設定できる室(むろ)に入れると、約2日間で発芽します。白いもやしみたいです。
ハウスに移動
徐々に外の環境にならすため、室からハウスに移動します。2〜3日で緑色になっていきます。播種作業は5月上旬まで続きます。
育苗期間中は、半日目を離すと日焼けや高温障害などで苗がダメに可能性があるので、温度管理に大変気を遣います。
4月〜5月 田植え準備〜田植え
畦塗り
このころから育苗と田んぼの準備を同時に進めます。まずは畦塗り。畦が乾燥でヒビ割れていると水漏れの原因となるため、機械で畦を固めていきます。
荒おこし・荒こなし
土中深くまで酸素を入れてあげるため、百匠屋では水を入れる前に荒くロータリーで草を埋め込みます。
水を入れて再度ロータリーでおこします。代かき
浅水の状態でハロー(田植え出来る状態までならす作業機)で仕上げます。
代かきで田植えの質が決まります!!いかに水平に仕上げるかがポイント。除草剤の効果や苗の徒長などに影響します。
田植え
「みずかがみ」から田植えがはじまります。このあと「コシヒカリ」「ミルキークイーン」「滋賀羽二重糯」「酒米」と続きます。
こだわりの苗作りで丈夫な苗に育っているので、本数を少なく植えて日当たり良く太く健康に育てます。
5月〜8月 水の管理と除草など
姉川と草野川に挟まれた三田村の土地は一見、水に困らない土地柄のように思われるが、地下層は砂利で乾きやすい。砂利は耕土の水を吸い取るため、一ヶ月も日照りが続くと田圃の稲は枯れ始め、生活にも支障をきたし、かつては天神さまに雨乞い祈願するよりほかなかった。
『三田村今昔見聞録 ―長浜市三田町の史跡と暮らし―』三田村法勝 著より
水の管理
田植えをしてからは、一日に朝夕2回はすべての田んぼの水位をチェックします。
中干し
2〜3本で植えた苗が 15〜16本まで分けつ(枝分かれ)してきます。いったん田んぼの水をなくします。
ほっておくと本数が増えすぎて本数が多くなりすぎ、栄養がすべてに届かなくなります。土を乾燥させて分けつをストップさせ、充分栄養がいきわたる本数に抑えます。
除草作業
夏場はひたすら草刈作業が続きます。田んぼの草引きは大変ですが、引き抜く感触は心地よいです。
除草は見た目の問題だけでなく、畦に住む害虫のすみかをなくす意味もあります。
追 肥
茎や根の張りが良くなる肥料を投入します。一反(10m×100m)に20kg。約30kgの動力散布機を背負いひたすら撒きます。
8月〜9月 稲刈り(収穫)
出穂・開花
穂が出て、花が咲きます。
水を落とすのが早すぎると食味が落ちるので、収穫ギリギリまで水をはり、美味しいお米づくりに配慮しています。
稲刈り
大型コンバインで適期を逃さず一気に刈ります。夜まで作業することも。
お米の管理
乾 燥
乾燥機に張り込み荒熱を取るため通風させてから温度をかけます。
選 別
水分含有量を約15%に仕上げて籾摺り機といわれる籾から玄米にする機械から石抜き機、大きさの選別機を2台かけて2Lサイズ(1.9mm)で仕上げます。石抜き機、色彩選別機、大きさの選別機を2回かけることにより、粒ぞろいに仕上がり、食味も良くなります。
保管・精米
玄米を冷蔵保管し、水分を最適な状態にして鮮度を保つ。
翌シーズンの準備
土壌改良
来年分の土壌改良剤を撒きます。稲が田んぼの栄養分を取るので、栄養の補給をし来年3月まで休ませてあげます。
稲ワラや籾殻など、田んぼでできたものはすべて田んぼに返します。